福島大学附属図書館報 『書燈』 No.28(2002.4.1)

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図書館で勉強することについて
—カウンターの内側から—
経済学研究科 山本 征宏

 図書館とは、私にとってなくてはならないものである。

 思えば小さい頃からよく学校の図書室や、図書館に通ったものだ。しかし、大学に入学するまで私は図書館で勉強したという記憶はほとんどない。テレビで友人や恋人同士が図書館で勉強するというシーンを見るたび、「私もああいうところで勉強すればきっとはかどるんだろうなぁ」と思っていた。私が通った学校では、図書室はどちらかというと遊びに行くような所で、決して勉強なんてできそうなところではなかったし、町の図書館は、小学生が利用するような机と椅子が隅のほうに申し訳程度に並んでいるだけであった。

 その後福島大学に入学し、附属図書館を訪れたとき、「ココなら勉強できそうだッ」と思った。そこには1階だけでなく、2階にも、いかにもといった感じの机と椅子が並んでおり、まさしくテレビでみたような雰囲気が漂う所だった。そこで早速私はこの図書館で勉強を試みた。そして最初のうちははかどっているように見えた。しかし、そのうち図書館で勉強することが段々イヤになってきた。私にとってその原因は“音”にある。図書館とはやはり静かであるのは当たり前のことなのだが、そのような場所であるがゆえに、逆に人の話し声やため息など、普段気にならないことが余計気になってしまう。特に面白くない内容の勉強をしている時がそうである。携帯電話が普及し始めたころから、さらに図書館は騒々しくなっていった。そしていつからか図書館には調べ物をしに行くことが目的となり、勉強をすることはなくなった。今は研究室や自分の部屋で勉強をしている。結局はどこで勉強をしたとしても、自分の興味のある題材だと自然と集中できるようだ。しかし、大学生ともなると自分の興味のあるものだけを、とは言っていられない。そこでやはり難しい内容の勉強をしていても集中できるよう、会話や携帯電話の着信音には注意してもらいたい。そうすれば今よりももっと図書館で勉強しようとする人が増え、留年者も減る(?)こととなろう。

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