玄 関
研究所の玄関にはルアンへの統合移転に
反対するメッセージが掲げられている。 |
こうした幅広い活動を行うINRPの図書館は、後に「公教育に関する中央図書館」と名付けられることになる「初等教育中央図書館」として1879年の「教育博物館」の誕生と同時にパリに設けられました。それ以後、教育に関する専門図書館として、研究の発展と教員の資質向上のために活動しつづけてきています。また、文部省の図書館として、中央教育行政にも重要な役割を演じてきました。
同図書館は、「教育博物館」から図書館部門を独立させた1932年のCNDP(国立教育ドキュメント・センター)の発足と同時に、現在の場所である、パリ左岸カルチェ・ラタンのウルム街に移りました。有名なパンテオンの近くに位置し、多くの科学者、文化人、政治家を輩出したフランス随一の有名グラン・ゼコールであるエコール・ポリテクニック(理工科学院)と同じ通りに面しています。ソルボンヌ(旧パリ大学)も遠くない所にあり、まさにその活動にふさわしくフランスの学術の中心に位置しているといえましょう。
INRPの図書館となった後、「歴史コレクション」部門が北部の古都ルアンに移り附属の国立教育博物館として独立しましたが、パリ・ウルム街の本館には教育研究の全領域をカバーする550,000冊の書籍と約5,000種類の定期刊行物が所蔵され、教育関係者を中心に広く利用されています。フランス並びに世界の教育行政と統計ドキュメントの所蔵において特に優れています。また、16世紀から今日までの教科書、教育論文、教育構想・法案、教育関係行政資料・統計等の文庫、コレクションは見逃すことのできない貴重なものといえます。
(教育学部教授) |