『書燈』 No.22(1999.4.1)

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図書館と私 -カウンターの内側から-
                  
大学院地域政策科学研究科 畑野智栄


 初めての図書館体験は、公民館にある市立図書館の分室だった。貸出は3冊まで。毎日江戸川乱歩を読みふけっていた。内容は、もう忘れた。小学校低学年だった。中高生の頃は、図書館はほとんど利用しなかった。でもたまに行くと、なんだかワクワクした。大学生の頃は、レポートなどで必要に迫られる以外は、開架図書で目についたものだけを借りる程度だった。検索機は見よう見まねで使ってみたが、よくわからなくて「使いづらい」と頭ごなしに決めつけていた。もちろん図書館のカウンター係になんてなろうとは、微塵にも思わなかった。私には向かない職業だと思っていた。

 ところが2年前、突如図書館のカウンターに座ることになった。そこからは驚きの連続。カウンター係はただ本の番号ををコンピュータで読み取るだけではなかったのだ。初めて検索機の偉大さを知った。閉架書庫にあんなにもたくさんの本があることを知った。図書館内で働く多くの職員さんの存在を知った。おそれいった。知れば知るほど図書館は面白い!カウンター係になるまでは全然知らなかった。

 こんな私が2年間夜間カウンター係として、利用者と接してきた。図書館愛好家の方々から見れば、「ふてぇやろう(死語か?)」かもしれない。だがこんな私だからこそ、他の図書館と比べることなくわが福大附属図書館の良さを知ることができたのかもしれない。

 驚きの2年間はあっという間で、私がカウンターで利用者を待つ日々も終わりを告げようとしている。 もしこれを読んでくれたみなさんの中に、「図書館はよくわからない」とか「図書館にはあまりいったことがない」という方がいたら、是非ダマサレタと思って1ヶ月利用してみてください。そして、わからないことはどんどんカウンターに座っている職員さんに聞いてみてください。慣れれば絶対、図書館は面白い!

 ほら、ダマサレタと思って…。


gakujo@lib.fukushima-u.ac.jp

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