『書燈』 No.27(2001.10.1)
学内教官著作寄贈図書の紹介 |
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『被疑者弁護権の研究』
日本評論社 2001.2 岡田 悦典 著(行政社会学部助教授) 自分が刑事手続の被疑者・被告人として問われることを想像してみてください。事実を判断し、有罪であれば刑罰を決定し、人にそれを課すことは大変に重い手続ですし、皆さんにとって弁護人の存在がおそらく重要となるでしょう。本書は、弁護人の援助を受ける権利に関する諸問題とそれを支える制度について、歴史的沿革からその具体的理念など、様々な側面から考察を加えたものです。本書を通じて、弁護人の援助を受ける権利について理解を深め、ご意見・ご批判をいただければと思います。
『こうすればうまくいくADHDをもつ子の学校生活』 どの教室にも、落ち着かず、授業に集中できず、教室や遊びのルールを守らない子どもたちがいます。そういう問題の背景に、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)とよばれる発達上の障害があることが最近わかってきました。この本には、その障害をもつ子どもたちの問題行動をなくし、授業に参加させるための具体的な方法と実践例が豊富に紹介されています。紹介されるアイディアは、学級経営と一般の子どもたちの学習意欲を高めるためにも大いに役立ちます。
『旧ロシア金融史の研究』
東京 八朔社 2001.2 1991年のソ連崩壊は、ソ連時代・ロシア革命のみならず、それらに先行する旧ロシア時代に関しても再把握を迫っている。本書はそのような問題関心に基づいて、書き溜めてきた金融史に関する論文をもとにして、19世紀半ばから第一次世界大戦前夜に至る旧ロシア資本主義の構造的特質や資本主義世界での位置を明らかにしようとした。 資本輸入の全体構造、農業の抵当金融、独仏金融連関、金本位制、中央銀行とその政策、大戦前夜国際収支構造等を国際的連関を重視しつつ追究した。
『1930年代の「日本型民主主義」—高橋財政下の福島県農村—』 経済的衰退の中、国際環境、国・県の経済政策に制約・規定された村・部落の視点から、1930年代の恐慌対策再編の動きを追った。主に福島県伊達崎村長の日記を史料に、乗り越えるべき「日本型民主主義」という方法で、農村における合意形成過程を実証的に解明した。戦前の明示的な情報統制下、人々は「なぜ」との問いを禁止され、悲劇が生じた。今こそ、個人が自立し、時代の枠組み形成に参画できる、ジェンダー・フリーの新しい日本型民主主義形成を目指したいと考えたからである。
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